うたかた日誌

好きに、書いてます。

蛆殺し(うじごろし)

タイミングを逃してしまった。そろそろ来客があるというのに。

あっという間に蛆は、ハエになる。最近、こちらもようやく暑くなって来たので、汲取式トイレに大量のハエが急激に現れ出した。普段はそうなる前に、エ◯ゾールという瓶に入った蛆殺しの液体を穴に流し込み、飛び立つ前に駆除している。

それを買いに、薬局へ出掛けた。店に入ると早速それを見つけ出し、ついでに今日のご褒美になんて、スナック菓子もカゴに入れて、少しウロウロしてから、レジに向かった。店員さん「袋、お分け致しましょうか?」親切にも、その蛆殺しエ◯ゾールの存在に気を使ってくれた。私「一緒でいいですよ。」どこか、”一緒でいい”という響きも良い気がした。そして、目的の物とそうでない物の支払いを済ませ、店を後にした。

帰りの車の中で、あの店員さんとのやり取りをもう一度、頭の中で想像した。店員さん「袋、お分け致しましょうか?」私「そうですね、この蛆殺しの瓶の中身の色もパッケージも体に毒である様にしか見えないですし、食べ物に匂いも移りそうですしね。でも、気にしないので、一緒でいいですよ。」やはりこの想像の中でも、”一緒でいい”が出た。そんなくだらないシュミレーションを何度もしている間に、家に着いた。袋の中で、蛆殺しの瓶が倒れてスナック菓子を潰さないように、テーブルの上にそっと置いた。しばらくして準備が整い、遂にハエに支配されかかっている汲取式トイレに、その薬品を流し込もうと袋から取り出すと、あの車の中での想像から無意識に未開封の瓶の匂いを嗅いだ。すると、臭っていたのだ。瓶の外側にもその毒々しい存在を知らしめていたのだ。そうか、店員さん。そういう事だよな。

私は、瓶を片手にトイレに入り、汲取式の深い穴にその中身を流し込んだ。それを見ながら、”これを飲み干したら、死ぬだろうなぁ”と恐ろしい想像をした。

 

(ミワヨシカズ)