うたかた日誌

好きに、書いてます。

岐阜の森へ

私たちを乗せた車は、岐阜の森へと入っていった。

もう辺りはだいぶ暗くなっていたため、途中、きつねにつままれたのではなかろうか、山中で先を見失った。
迷いながらも無事、目的地の五宝滝の周辺につくとお店の灯りがひとつあって、大雨により川の音が暗がりに強く響いていた。
主催の西田さんたちや保養キャンプ中の子供たち、お母さんたちに迎え入れてもらいホッとしたのだ。

暗闇は、翌日演奏する場所もそこまでの道も森ごと飲み込んだまま、私たちを山小屋へ導いた。荒れた川の音が森中響いていて、それに気を取られていた。その山小屋に入ると、大勢の人たちによる宴会が繰り広げられていて、翌日の準備で何か作っている人、寝ている人様々で、ギターやお酒や声がグルグルと回っていると、先ほどまでの暗闇のことは、すっかり記憶から掻き消されていた。

中を見渡す限りガッチリとした造りのその山小屋は、森の中にいる私たちを包み込んでいるように見えて、とてもあたたかかった。
一曲ぐらいは歌っただろうか、私はその空間に溶け込んでいった。

朝目覚めると、二階の大広間に敷き詰められた布団の一部に、自分で作ったと思われる巣のような寝床にきちんと寝ていた。
ぼんやりと窓の外の緑を見ながら、昨晩のことが夢なのか現実なのか、わからなくなっていた。

チキンやフランクフルトを焼いて、販売のお手伝いをしている小学生の男の子たちがいたので、注文してみると、「いわきで歌ってましたよね?」と声を掛けてくれた。嬉しくなって尋ねると、いわきから保養に来ていた子だった。
一緒に森を散歩したい気分になった。
もう少し関わる時間が欲しかったが、私たちは翌日の地元いわき市での演奏会を控えていたので、直に、また森の暗闇を抜けて帰っていった。

君も来たんだね、君もまた帰るんだね。
また会おうね。

 

(ミワヨシカズ)